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2007年1月23日、第10回“ボキューズ・ドール国際料理コンクール”が始まろうとしているフランス・リヨンの会場。スペイン代表として厨房ブースにいるのは、若手シェフのへスースと、アシスタント役を務めるフェリクス。マドリード大会に続き全国大会でも優勝したへスースは、過去9回の大会で結果を出せないでいるスペイン料理界の期待を背負って、この“ボキューズ・ドール”に臨んでいた。

本選出場が決まって以来、へスースは休日も返上して準備を重ねてきた。舌の肥えた諮問委員会メンバーや同僚から容赦ない厳しい言葉を投げかけられる試食会を何度も繰り返し、大会で披露する料理—スペイン的でありながら国際的、美味しいだけではないそれ以上の何かがある、そして何より審査員たちの心を掴む料理—を目指してへスースは試行錯誤を繰り返す。

本選まで残り3ヶ月となった10月末、スペインチームは、05年大会優勝者のフランス人シェフ、セルジュ・ヴィエラにアドバイスを求めた。4回目の試食会が行われた10月31日、試食をしたセルジュは厨房のへスースを見つめ、こう言う。「まずは料理の前に考えることだ。何をするか、何を伝えるか。“ボキューズ・ドール”はフランス料理を求めているわけではない。スペインの素材で君独自の料理を作るんだ」
セルジュの意見は、それまでのスペインチームの考え方、やり方を根底から変更することを意味していた。時間は残り僅か—
しかし、へスースらスペインチームは今までの方法をすべてリセットし、一から新たに準備し直す決断をくだす。何ヶ月にも及ぶ準備期間に費やされた食材は、450羽の鶏と150キロのオヒョウ、そして265キロのタラバガニ。そうしてついに、彼は自らのキャリアを試す大きな挑戦の場へ向かう準備を整えた—

リヨンでは、大群衆の熱狂の中で、時計の針が容赦なく時を刻む。果たして、ヘスースの苦労は報われるのか?・・・華やかでいながらスリリングな、この美味しい闘いで勝利を手にするのは誰だ?

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